癌が再発した母はすぐ手術しました
医師の話しだと詳細は手術して直接目で見ないと断言できないと
私は手術室の前の椅子に座ってました
見知らぬ女性が話しかけてきます
「手術ですか?」
私「はい、母が癌なんです」
すると女性は目を閉じ手を合わせ何か念仏のようなものを唱えます
私はこの時点で怪しいと思いました
「庭に祠のようなものはないですか?」
私「ないです」
「近くに墓地はないですか?」
私「ないです」
実際ないんです、完璧にインチキ霊能者です
女性は立ち去りました
手術が終わり、母が意識を取り戻してもしゃべれる状態じゃなかったです
手術で出た汚物が内臓にまだあるので太目のホースのようなものが腹部に通されてました
呼吸を補助する酸素マスクをしていても息苦しそうです
私はその日はわずかしか面会できませんでした
医師のお話
「癌になった胃がすい臓にべったり張り付いていて取り除くことは不可能です」
私「治る可能性は?」
「皆無です」
私は目の前が真っ暗になりました
しかし母がしゃべれるようになると、私は強がります
「すぐには手術で除去できんで薬で癌を小さくしてから取り除くってさ」
母は信じてくれたかどうかはわからないです
しかし私は強がるしかなかったです
そこから亡くなるまで母はずっと入院
家に帰ったのはたった1回の2時間だけでした
精神科はその病院にないんですが、他院の薬は持ち込めないと医師が言うんで母は精神薬なしです
精神病なのに大丈夫なのか?と思ってたら母はぜんぜん平気です
母はすでに寛解(年齢を重ねて精神病がほぼ治った状態)なのにインチキ病院に「強力精神安定剤」なんて書かれた薬を飲まされ薬漬けだっただけなようです
私はその病院に一時通ってましたが隔離病棟があり喫煙所に変なやつらが「たばこくれない?」とたむろしてるすごく酷い精神病院でした
あまつさえバイトに医学生を使い診察までさせるという
私はその病院で今現在はほぼ悪い薬とバレてるデパス系の薬を飲まされそうになったとき逃げ出して今の主治医に変えました
母はみるみる痩せていきます、ほぼ流動食だった支給される食事もどんどん減ります
気が狂いそうになりながら私は毎日病院へ通いました
母と少しでも一緒にいるために
母は私が全然料理をしないのを心配してました
私はクックパッドを使い「皮を除去したかぼちゃの柔らか煮」を作りました
母にほんの少し食べさせて「美味しい」と言わせてから
「今はクックパッドいう便利なもんあるで俺でも料理できるだぜ」
母は「もっと食べたい」と何度も言いました
仕方なしに少しずつ食べさせました、ただしあくまで少量です
母は「残ったの置いてって」と言いました
「じゃあほんのちょっとずつ食べるんやで?」と1食分置いて帰りました
次の日、母は全部食べてしまったため夜中にずっと吐いていたらしいです
私はやっぱうかつなことしてしまったようです
しかし母に会ったら笑顔を見せてくれました
「また何か作ってね」
私は母に言いました
「かあちゃん元気になったら犬飼おうな?」
母は動物好きなんですごく喜びました
母が生きていてもやはりゴローは飼っていたのかもしれません
次回予告
「母の死」
お楽しみに